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精神の障害

この記事の最終更新日 2022年3月30日 文責: 社会保険労務士 大平一路

精神疾患や知的障害など精神障害については、障害の種類により4項目に分かれて認定基準があり、それぞれに1級から3級までの等級が定められています。(障害者手帳とは異なる基準になります)

※基礎年金(国民年金)については3級はなく2級以上(1級または2級)に該当する必要があります。

統合失調症、気分障害(うつ病など)について、障害年金では次のような認定基準を示しています。

総合失調症

1級高度の残遺状態または高度の病状があるため高度の人格変化、思考障害、その他もう想・幻覚などの異常体験が著明なため、常時の介護が必要なもの
2級残遺状態または病状があるため人格変化、思考障害、その他もう想・幻覚などの異常体験があるため、日常生活が著しい制限を受けるもの
3級残遺状態または病状があり、人格変化の程度は著しくないが、思考障害、その他もう想・幻覚などの異常体験があり、労働が制限を受けるもの

気分障害(うつ症)

1級高度の気分、意欲・行動の障害および高度の思考障害の病相期が あり、かつ、これが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするため、常時介護が必要なもの
2級気分、意欲・行動の障害および思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、またはひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの
3級気分、意欲・行動の障害および思考障害の病相期があり、その病状は著しくはないが、これが持続したり、または繰り返し、労働が制限を受けるもの

知的障害

(1)知的障害とは、知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に持続的な支障が生じているため、何らかの特別な援助を必要とする状態にあるものをいう。

(2)各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。

1級知的障害があり、日常生活への適応が困難で、常時介護を要するもの
2級知的障害があり、日常生活における身辺の処理にも援助が必要なもの
3級知的障害があり、労働が著しい制限を受けるもの

(3)知的障害(精神遅滞)の認定に当たっては、知能指数のみに着眼することなく、日常生活のさまざまな場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断する。

(4)日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能、特に、知情意面の障害も考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努め る。また、現に仕事に従事している者については、その療養状況を考慮し、その仕事の種類、内容、従事している期間、就労状況及びそれらによる影響も参考と する。

発達障害

(1)発達障害とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものをいう。

(2)発達障害については、たとえ知能指数が高くても社会活動やコミュニケーション能力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うことができないために日常生活に著しい制限を受けることを着目して認定を行う。また、発達障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定する。

(3)発達障害は、通常低年齢で発症する疾患であるが、知的障害が伴わない者が発達障害の症状により、初めて受診した日が20歳以降であった場合は、当該受診日を初診日とする

(4)各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。

1級発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの
2級発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの
3級発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、労働が著しく制限を受けるもの

(5)日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮のうえ、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める

(6)就労支援施設や小規模作業所などに参加する者に限らず、雇用契約により一般就労をしている者であっても、援助や配慮のもとで労働に従事している。したがって、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。

申請について

障害年金は老齢年金のように年金機構から案内が届くということはありませんので、要件に該当する場合は自ら年金の裁定請求書を提出しなければ受給することが出来ない制度です。

申請には医師が作成した診断書や初診日の証明書類、発病から現在までの症状や就労の状況等について記載する病歴就労状況等申立書等の書類を揃えて申請することになります。

納付要件について

なお、書類を整備する前に、必ず年金保険料の納付要件を満たしているかを先に確認してください。保険料の納付要件を満たしていない場合、申請することができませんので、注意が必要です。

納付要件は申請する日や診断書を記載した日ではなく、その症状において初めて受診した日が基準になります。

現在の病院を受診する前に、別の医療機関を受診している場合は、最初の医療機関で初診日を証明してもらう必要がありますのでご注意ください。

20歳から初診日までの期間のうち3分の2以上の納付していれば大丈夫です。もし3分の以上納付していなければ、原則として初診日前の直近12か月間納付していれば納付要件を満たすことになっています。

※正確には初診日の前日において、前々月までの納付状況を確認することになります。また、直近12カ月の要件は特例ですので、3分の2を満たさない場合は認められない場合もあります。納付要件については必ず年金事務所に行くか、または専門家に依頼して確認するようにしてください。

初診日が20歳よりも前の場合

初診日が20歳より前の場合は、そもそも年金を納める義務がありませんので、納付要件を満たす必要がなく、申請することができます。ただし、これは福祉制度の一つとなるため、障害等級に該当し年金を受給できるようになった場合、所得による制限があります。所得がおおくなると2分の1または全額が停止することになります。

受給できる金額

受給できる金額は基礎年金と厚生年金で異なります。

◆基礎年金(国民年金)

1級 年額約97万円(2級の1.25倍)

2級 年額約78万円

◆厚生年金

・1級または2級は基礎年金に加えて厚生年金が上乗せされます。厚生年金の金額は給与額や勤務年数によって変わります。

・3級については基礎年金がありませんので、厚生年金のみ支払われることになります。

なお、3級のみ最低保障額が定められており年額約58万円となっています。

※年金額は毎年見直されます

更新について

障害年金には1年から5年の範囲で更新期限が定められています。(一部永久に認定される場合があります。)

更新の基準については、請求時の認定基準と同じとなっており、医師の作成する診断書によって判断されるます。

もし、症状が改善し障害等級に該当しないと判断されると年金の支給が停止されます。

停止された後症状が重くなった場合

症状が改善し、障害年金の支給が停止された後、万一重症化した場合は、停止を解除してもらう申請をすることができます。申請が認められれば、支給が再開されることになります。

一度障害年金を受給できるようになれば、万一その後支給が停止されたとしても権利は消滅せずに残っていますので、安心してください。

ただし例外があり、3級に該当しなくなってから3年が経過し、かつ65歳になった場合は受給権が消滅します。

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