障害年金の保険料納付要件とは?3分の2要件・直近1年要件と確認方法
この記事の最終更新日 2026年11月3日 文責: 社会保険労務士 大平一路
障害年金の保険料納付要件とは初診日の前日の時点で、国民年金の保険料を一定以上納めているか、または免除を受けているかという条件のことです。原則は「初診日のある月の前々月までの加入期間のうち、納付済期間と免除期間が3分の2以上」で、これを満たさなくても、初診日が2036年(令和18年)3月末日までで65歳未満なら「直近1年間に未納がない」ことで満たせます。未納がある方も、まずは2つの要件のどちらかに当てはまるかを確かめることが大切です。
- 納付要件は「3分の2以上」か「直近1年に未納なし」のどちらかを満たせばよい
- 免除・納付猶予・学生納付特例の承認を受けた期間は、未納ではなく要件の対象期間として数える
- 判定は初診日の前日の時点で行うため、初診日以後に納めた保険料やさかのぼって申請した免除は入らない
- 自分の記録は「ねんきんネット」の月別の記録で確かめ、認識と違えば年金事務所に問い合わせる
障害年金の制度全体は「障害年金の基礎知識」で説明しています。
障害年金の保険料納付要件とは
保険料納付要件は障害年金を受け取るための要件の1つで、障害の原因になった病気やけがの初診日より前に、保険料をきちんと納めていたかを確かめるものです。障害基礎年金・障害厚生年金のどちらにも同じ内容の納付要件があります(厚生労働省「年金制度の仕組みと考え方 第12 障害年金」、日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」)。
納付要件には原則と特例の2つがあり、どちらか一方を満たせば要件を満たしたことになります。過去に未納の時期があっても、それだけで障害年金を受け取れないと決まるわけではありません。
2つの要件の中身
| 区分 | 条件 | 対象になる人 |
|---|---|---|
| 原則(3分の2要件) | 初診日のある月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上 | 納付要件の基本となる判定方法。加入状況などの受給要件は別に確認する |
| 特例(直近1年要件) | 初診日のある月の前々月までの直近1年間に、保険料の未納がない | 初診日が2036年(令和18年)3月末日までにあり、初診日に65歳未満の人 |
原則:3分の2以上の要件
原則の要件では初診日のある月の前々月までの被保険者期間を分母にし、そのうち保険料を納めた期間と免除を受けた期間の合計が3分の2以上あるかを見ます。たとえば前々月までの被保険者期間が120か月なら、納付済期間と免除期間を合わせて80か月以上あれば要件を満たします。
分母になるのは国民年金や厚生年金の被保険者期間なので、保険料が未納の月も分母に入ります。年金制度の被保険者でなかった期間は分母に入りません。20歳前でも厚生年金に加入していた期間は含めます。
初診日が1991年(平成3年)4月末日までの場合は、納付要件が異なります。年金事務所などで確認してください(日本年金機構「障害年金ガイド・保険料の納付要件」5ページ)。
特例:直近1年に未納がない要件
特例は初診日のある月の前々月までの1年間に、保険料の未納が1か月もなければ満たせる要件です。初診日が2036年(令和18年)3月末日までにあり、初診日の時点で65歳未満であることが条件です。若いころに未納があっても、直近1年をきちんと納めていれば、この特例で要件を満たせることがあります。
納付済期間・免除期間に入るもの
3分の2の計算や直近1年の確認では、次の期間を「納めた期間」または「免除を受けた期間」として数えます。
| 期間 | 扱い | 出典 |
|---|---|---|
| 国民年金の保険料を納めた期間 | 保険料納付済期間 | 日本年金機構 |
| 会社員・公務員として厚生年金保険・共済組合に加入していた期間 | 保険料納付済期間に含む | 日本年金機構 |
| 全額免除・一部免除・納付猶予の承認を受けた期間 | 保険料免除期間などとして数える。一部免除の期間は、減額された保険料を納付している必要がある | 日本年金機構 |
| 学生納付特例の承認を受けた期間 | 保険料納付済期間と同様に、要件の対象期間になる | 日本年金機構 |
免除や猶予は承認を受けていることが前提です。収入が少なく保険料を納められなかった時期でも、申請をしていなければ未納の期間として扱われます。
判定の基準日と数える期間
納付要件は初診日の当日ではなく初診日の前日の時点で判定します。数える期間は初診日のある月の前々月までです。
たとえば、初診日に年金制度に加入している方で、初診日が2026年5月10日なら、判定は2026年5月9日の時点の納付状況で行い、数える期間は2026年3月までです。特例の「直近1年」は2025年4月から2026年3月までの12か月になります。初診日に年金制度に加入していない方は、対象となる期間を年金事務所で確認してください。
判定が初診日の前日の時点で行われるため、初診日以後に未納分を納めても、この判定には含まれません。また、日本年金機構は、不慮の事故や病気が発生してから過去にさかのぼって免除を申請しても、障害基礎年金の保険料納付要件に算入されないとしています(「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」)。学生納付特例も、申請が遅れると申請日より前に生じた事故や病気による障害について、障害基礎年金を受け取れない場合があるとされています(「国民年金保険料の学生納付特例制度」)。
基準日になる初診日の決まり方は「障害年金の初診日とは?転院・健康診断での決まり方と調べ方・証明方法」で説明しています。初診日が1日違うだけで数える期間が変わることがあるため、先に初診日を確かめておく必要があります。
20歳前に初診日がある場合
20歳前の、年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、保険料納付要件は問われません(厚生労働省「年金制度の仕組みと考え方 第12 障害年金」)。
この扱いは年金制度に加入していない期間に初診日があることが前提です。20歳前でも、就職して厚生年金保険に加入していた期間に初診日がある場合は、加入記録をもとにどの要件で判定されるかを年金事務所で確認してください。
自分の納付状況を確認する方法
自分が納付要件を満たすかは、初診日を確かめたうえで、年金記録を月ごとに見て数えます。
- 初診日を確かめる。決まり方と調べ方は、上で紹介した初診日の記事を参考にしてください
- 判定に使う月を出す。初診日のある月の前々月を最後の月として、直近1年と加入期間全体の範囲を決めます
- 「ねんきんネット」で月別の年金記録を開く。各月の記録を選ぶと詳しい内容を確認でき、国民年金・厚生年金保険などの制度別の加入記録も見られます(日本年金機構「「ねんきんネット」による各月の年金記録照会」)
- 2つの要件に当てはめて数える。特例の対象になる方は、まず直近1年に未納の月がないかを見て、未納があれば加入期間全体で3分の2以上あるかを数えます。画面は印刷して手元で数えることもできます
- 記録が認識と違うときは問い合わせる。ねんきんネットの記録が自分の認識と異なる場合は、お近くの年金事務所または街角の年金相談センターに問い合わせます(日本年金機構「「ねんきんネット」によるご自身の年金記録の確認」)
初診日がはっきりしない、免除の承認を受けていたか分からないなど、自分で判断しにくいときは、大阪障害年金サポートセンターの無料相談をご利用ください。
よくある質問
過去に未納があると、障害年金は受け取れませんか?
未納があることだけで、受け取れないと決まるわけではありません。前々月までの加入期間のうち納付済期間と免除期間が3分の2以上あるか、初診日が2036年(令和18年)3月末日までで65歳未満なら直近1年に未納がないかのどちらかを満たせば、納付要件を満たします。
初診日の後に未納分を納めれば、要件を満たせますか?
納付要件は初診日の前日の時点で判定するため、初診日以後に納めた保険料は判定に含まれません。事故や病気の後にさかのぼって免除を申請した場合も、納付要件には算入されません。
学生のときに学生納付特例を受けていた期間は、未納になりますか?
学生納付特例の承認を受けていた期間は、保険料納付済期間と同様に要件の対象期間になります。承認を受けずに保険料を納めていなかった期間は、未納の期間として扱われます。
会社員として働いていた期間はどう数えますか?
厚生年金保険に加入していた期間は、保険料納付済期間に含まれます。会社員の期間と国民年金の期間がある方は、両方を合わせて数えます。
この記事で確認した情報
この記事は2026年11月3日に、次の一次情報で内容を確認しました。
- 日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」
- 日本年金機構「障害年金ガイド」5ページ
- 厚生労働省「年金制度の仕組みと考え方 第12 障害年金」
- 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
- 日本年金機構「国民年金保険料の学生納付特例制度」
- 日本年金機構「「ねんきんネット」による各月の年金記録照会」
- 日本年金機構「「ねんきんネット」によるご自身の年金記録の確認」
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投稿者プロフィール
- 社会保険労務士
- 親族に知的障害を持つ者がおり、障害年金が家族の生活を支える大きな力になることを身近に実感してきました。複雑な手続きにハードルを感じる方々の力になりたいという想いから、当センターを設立しました。 専門家として一人ひとりの状況を丁寧に伺い、スムーズな受給に向けて全力でサポートいたします。一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
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