障害年金の等級1級・2級・3級の違いとは?状態の目安と年金額
この記事の最終更新日 2026年11月4日 文責: 社会保険労務士 大平一路
結論:障害年金の等級は1級が最も重く、1級・2級は障害基礎年金の対象、3級は障害厚生年金だけの等級です。初診日に厚生年金へ加入していて要件を満たす場合は、1級・2級でも障害基礎年金と障害厚生年金をあわせて受け取れます。また、障害年金の等級は障害者手帳の等級とは別の基準で決まります。
この記事でわかること
- 1級・2級・3級それぞれの状態の目安
- 等級ごとに受け取れる年金の種類と、令和8年度の年金額
- 3級と障害手当金が、初診日に加入していた制度で決まること
- 障害者手帳の等級との違いと、等級の決まり方
この記事が向いている方
- 障害年金の請求を考え始め、自分が何級にあたりそうか知りたい方
- 障害者手帳の等級と障害年金の等級の関係がわからない方
- 3級で障害年金を受け取れるか知りたい方
- ご家族の障害年金について調べている方
障害年金の等級は1級・2級・3級と障害手当金
障害年金の等級は、障害の程度に応じて1級・2級・3級に分かれます。障害基礎年金は1級・2級、障害厚生年金は1級・2級・3級です。
等級ごとの障害の状態は法令の別表で定められています。1級・2級の状態は国民年金法施行令の別表に定められ、障害厚生年金の1級・2級もこれと共通です。3級の状態は厚生年金保険法施行令の別表第1に定められています(日本年金機構「障害認定基準(参考)施行令別表等」)。
3級より軽い障害が残った場合の制度として、厚生年金には「障害手当金」があります。障害手当金は年金ではなく一時金で、「4級」のような等級ではありません。障害の程度は別表第2に定められています。主な要件として、初診日から5年以内に傷病が治り(症状が固定した場合を含みます)、その日に所定の障害状態にあることや、保険料の納付要件を満たすことなどが必要です。軽い障害が残れば必ず受け取れるわけではありません(日本年金機構「障害年金ガイド 令和8年度版」)。
障害年金の全体像は「障害年金の基礎知識」でまとめています。
1級・2級・3級の違いを一覧で比較
等級ごとの違いは次の表のとおりです。状態の目安は認定基準の基本的な考え方を簡単にまとめたもので、実際には障害の種類ごとの基準で判定されます。
| 等級 | 状態の目安 | 障害基礎年金 | 障害厚生年金 | 加算 |
|---|---|---|---|---|
| 1級 | 身の回りのことの多くに他人の介助が必要な程度 | 対象 | 対象(初診日に厚生年金加入中などの要件あり) | 子の加算(基礎年金)、配偶者の加給年金額(厚生年金)。いずれも対象者がいる場合 |
| 2級 | 日常生活に著しい制限がある、または著しい制限が必要な程度 | 対象 | 対象(初診日に厚生年金加入中などの要件あり) | 1級と同じ |
| 3級 | 労働が著しい制限を受ける、または著しい制限を加えることが必要な程度 | なし | 対象(初診日に厚生年金加入中などの要件あり) | なし |
| 障害手当金 | 傷病が治り、3級より軽い所定の障害が残った程度(一時金。初診日から5年以内などの要件あり) | なし | 一時金(初診日に厚生年金加入中などの要件あり) | なし |
出典:日本年金機構「障害認定基準 第2 障害認定に当たっての基本的事項」「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」「障害年金ガイド 令和8年度版」
これは障害の程度の一般的な目安です。活動範囲の例や就労の有無だけで等級が決まるわけではなく、障害の種類ごとの認定基準で判断されます。
1級の状態の目安
1級は、他人の介助を受けなければ日常生活のほとんどができない程度です。活動範囲の例として、病院ではおおむねベッドの周辺、家庭ではおおむね寝室内での生活に限られる状態が示されています。
2級の状態の目安
2級は、必ずしも他人の助けは必要ないものの、日常生活が極めて困難な程度です。例として、家庭内の軽い活動はできても、それ以上の活動ができない、または制限され、活動範囲がおおむね家屋内に限られる状態が示されています。
なお、2級の説明には労働による収入にふれた文言がありますが、「収入があれば2級にならない」という条件ではありません。実際の等級は、障害の種類ごとの基準に沿って判定されます。
3級の状態の目安
3級は、労働が著しい制限を受ける、または労働に著しい制限を加えることが必要な程度です。日常生活はできても、働き方に大きな制限がある状態を指します。傷病が治っていない場合の取扱いも認定基準に定められています。
出典:日本年金機構「障害認定基準 第2 障害認定に当たっての基本的事項」、同「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」
3級は初診日に厚生年金へ加入していた人だけ
3級の障害年金を受け取れるのは、初診日に厚生年金へ加入していた人です。初診日に国民年金だけに加入していた場合、障害基礎年金は1級・2級のみで、3級と障害手当金はありません。
ここで見るのは、今加入している制度ではなく、初診日に加入していた制度です。初診日に厚生年金へ加入していた場合は、その後に退職していても、障害の程度や保険料の納付などの要件を満たせば、障害厚生年金を受け取れる可能性があります(日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」)。
初診日が次の期間にある場合も、障害基礎年金の対象となり得ます。どちらも障害の程度などの要件は別に必要です(日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」「障害基礎年金を受けられるとき」)。
- 20歳前で年金に加入していない期間(この場合、保険料の納付要件は問われません)
- 国民年金に加入していた人が、日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で、年金に加入していない期間
初診日の考え方は「障害年金の初診日とは?転院・健康診断での決まり方と調べ方・証明方法」で詳しく解説しています。保険料の要件は「障害年金の保険料納付要件とは?3分の2要件・直近1年要件と確認方法」にまとめています。
等級ごとの年金額(令和8年度)
障害基礎年金の額は等級で決まり、1級は2級の1.25倍です。ただし1.25倍になるのは、子の加算を除いた本体の額です。
| 生年月日 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| 昭和31年4月2日以後 | 1,059,125円 | 847,300円 |
| 昭和31年4月1日以前 | 1,056,125円 | 844,900円 |
出典:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」「障害年金ガイド 令和8年度版」
2級の本体の額は同じ生年月日の区分の老齢基礎年金の満額と同じ額です(厚生労働省「いくら?-年金額の計算-」)。
障害厚生年金と加算は、次のとおりです。
| 区分 | 1級 | 2級 | 3級 |
|---|---|---|---|
| 障害厚生年金 | 報酬比例の年金額×1.25 | 報酬比例の年金額 | 報酬比例の年金額(最低保障あり) |
| 配偶者の加給年金額 | 243,800円 | 243,800円 | なし |
| 子の加算(障害基礎年金) | 1人目・2人目は各243,800円、3人目以降は各81,300円 | 同左 | なし |
- 3級の最低保障額:昭和31年4月2日以後生まれは635,500円、昭和31年4月1日以前生まれは633,700円
- 障害手当金:報酬比例の年金額の2倍の一時金。最低保障額は、昭和31年4月2日以後生まれは1,271,000円、昭和31年4月1日以前生まれは1,267,400円
出典:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」「障害年金ガイド 令和8年度版」、厚生労働省・日本年金機構「障害年金制度について」
加算は、対象となる家族がいる場合だけ付きます。
- 子の加算:受給者に生計を維持されている子が対象です。18歳になった後の最初の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級・2級の子が該当します。
- 配偶者の加給年金額:受給者に生計を維持されている65歳未満の配偶者が対象です。配偶者が一定の老齢厚生年金などの受給権を持っている場合や、障害年金を受けられる間は、止まることがあります。
- 年金額は年度ごとに改定されます。この記事の金額は令和8年度(2026年4月分から)の額です。
- 障害厚生年金の額は厚生年金に加入していた期間と報酬によって人ごとに違います。加入期間が300月に満たない場合は300月として計算します。障害認定日の属する月より後の期間は計算に含めません。
- 1級の総受取額が加算まで含めて2級のちょうど1.25倍になるわけではありません。
ご自身が障害年金の対象になりそうか先に確かめたい方は、「1分受給判定」をご利用ください。
障害者手帳の等級と障害年金の等級は別の基準
障害者手帳の等級と障害年金の等級は、判断の基準が異なります。手帳が2級でも、そのまま障害年金の2級になるわけではありません(厚生労働省・日本年金機構「障害年金制度について」)。
障害年金の等級は障害年金の認定基準に沿って、診断書などの内容をもとに判定されます。手帳の等級とは切り分けて考えることが大切です。
等級はどうやって決まるか
障害年金の等級は、提出した診断書や添付資料をもとに、障害の種類ごとの認定基準に沿って日本年金機構が認定します。
- 主な提出資料:医師が作成する診断書のほか、病歴・就労状況等申立書などを提出します。病歴・就労状況等申立書は障害の状態を確認するための補足資料です。
- 認定基準に沿った審査:診断書などの内容をもとに、障害の種類ごとの認定基準で障害の程度が認定されます。書類だけで判断が難しい場合は、調査などが行われることもあります。
出典:日本年金機構「障害基礎年金を受けられるとき」「障害認定基準 第2 障害認定に当たっての基本的事項」
精神の障害では、「等級判定ガイドライン」が使われます。診断書にある日常生活能力の2種類の評価から等級の目安を出し、病状や療養の状況、生活環境、就労の状況などをふまえて総合的に判断します。目安の表だけで等級が決まるわけではありません(日本年金機構「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」)。
どの時点の状態で判定するかは「障害認定日とは?初診日から1年6か月の数え方と例外・請求方法」で解説しています。
決まった等級は後から変わることがある
一度決まった等級も、障害の状態によって後から変わることがあります。障害状態確認届(診断書)で障害の状態を確認した結果、等級や年金額が変わったり、支給が止まったりすることがあります。障害状態確認届は、状態に応じて提出が必要な年に届きます(日本年金機構「障害状態確認届(診断書)が届いたとき」)。
障害の程度が重くなったときは、年金額の改定を請求できます。3級の障害厚生年金を受けている人が、2級以上に当たる状態へ重くなった場合も、条件を満たせば請求の対象です(日本年金機構「障害の程度が変わったとき」)。
- 原則として、受給権が発生した日から1年と、障害の程度の診査を受けた日から1年が、どちらも過ぎている必要があります。
- 障害の程度が重くなったことが明らかな場合として省令で定める場合は、1年を待たずに請求できます。
- 3級の障害厚生年金を受けている人のうち、これまでに同じ支給事由の障害基礎年金の受給権を持ったことがない人は、65歳以上になると額の改定を請求できません。
よくある質問
障害者手帳が2級なら、障害年金も2級ですか?
いいえ、同じになるとは限りません。障害者手帳と障害年金では、等級を判断する基準が異なります。障害年金の等級は、障害年金の認定基準に沿って診断書などの内容をもとに判定されます。
国民年金だけに加入していた時期に初診日がある場合、3級はもらえますか?
いいえ、もらえません。初診日に国民年金だけに加入していた場合、障害基礎年金は1級・2級のみで、3級と障害手当金はありません。判断に使うのは、今の加入制度ではなく初診日に加入していた制度です。
障害年金の1級と2級では、金額はどれくらい違いますか?
障害基礎年金の本体の額は、1級が2級の1.25倍です。令和8年度は、昭和31年4月2日以後生まれで1級1,059,125円、2級847,300円です。子の加算は1級・2級で同じ額のため、加算を含めた総額は1.25倍になりません。
精神の障害で働いていると、等級は下がりますか?
働いているという事実だけで、等級が自動的に下がるわけではありません。精神の障害では、仕事の種類や内容、職場での援助の有無、対人関係なども確認したうえで、日常生活の状況とあわせて総合的に判断されます。
決まった等級に納得できないときは、どうすればよいですか?
審査請求ができます。年金の決定があったことを知った日の翌日から、原則3か月以内に、地方厚生局の社会保険審査官へ請求します。正当な理由がある場合の例外もあります(日本年金機構「年金の決定に不服があるとき(審査請求)」、近畿厚生局「審査請求に関するよくあるご質問(制度編)」)。
まとめ|等級で受け取れる年金と金額が変わる
- 障害年金の等級は1級が最も重く、障害基礎年金は1級・2級、障害厚生年金は1級・2級・3級です。
- 3級と障害手当金は、初診日に厚生年金へ加入していた人だけが対象です。
- 障害基礎年金の本体の額は、1級が2級の1.25倍です(令和8年度・子の加算を除く)。
- 障害者手帳の等級と障害年金の等級は別の基準で決まります。
- 等級は障害状態確認届や額改定の請求によって後から変わることがあります。
参考資料
- 日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」
- 日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」
- 日本年金機構「障害年金ガイド 令和8年度版」
- 日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」(第2 障害認定に当たっての基本的事項、(参考)施行令別表等)
- 日本年金機構「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」
- 日本年金機構「障害基礎年金を受けられるとき」
- 日本年金機構「障害の程度が変わったとき」
- 日本年金機構「障害状態確認届(診断書)が届いたとき」
- 日本年金機構「年金の決定に不服があるとき(審査請求)」
- 近畿厚生局「審査請求に関するよくあるご質問(制度編)」
- 厚生労働省・日本年金機構「障害年金制度について」
- 厚生労働省「いくら?-年金額の計算-」
確認日:2026年11月4日(金額は令和8年度の額です)
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投稿者プロフィール
- 社会保険労務士
- 親族に知的障害を持つ者がおり、障害年金が家族の生活を支える大きな力になることを身近に実感してきました。複雑な手続きにハードルを感じる方々の力になりたいという想いから、当センターを設立しました。 専門家として一人ひとりの状況を丁寧に伺い、スムーズな受給に向けて全力でサポートいたします。一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
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