うつ病で引きこもり・寝たきりの方は障害年金をもらえる?【社労士が解説】
この記事の最終更新日 2026年7月22日 文責: 社会保険労務士 大平一路
うつ病の引きこもり・寝たきり状態は障害年金の対象になる?
結論として、うつ病による引きこもりや寝たきりの状態は、障害年金の対象となりうる典型的なケースの一つです。日本年金機構が示す障害基礎年金1級の基準では、他人の介助がなければ日常生活のほとんどができず、入院や在宅介護が必要で、活動範囲がベッドの周辺に限られる状態が想定されています。これは「寝たきり」の状態像とほぼ重なります。
一方、2級の基準は「日常生活に著しい制限を受ける」「必ずしも他人の助けは必要ないが、家庭内の簡単なこと以外はできない」という状態を想定しており、外出がほとんどできない「引きこもり」の状態にも当てはまりうる内容です。つまり、うつ病そのものの病名だけでなく、日常生活が実際にどこまで制限されているかによって等級が判断される、という点が最も重要なポイントになります。
収入面の不安―働けない期間、生活費はどうなるのか
うつ病により引きこもり・寝たきりの状態が続くと、就労による収入が途絶え、生活費や医療費の負担だけが積み重なっていきます。ご本人が働けない期間、ご家族が生活費を支え続けているケースも少なくありません。
引きこもり状態にある方は、こども家庭庁の令和4年度調査で全国に約146万人と推計されており、決して珍しい状況ではありません。
「自分(家族)だけが特別な状況にある」と抱え込んでしまいがちですが、収入が途絶える不安を抱える世帯は他にも数多く存在し、そうした状況を支える制度の一つが障害年金です。障害年金は現金給付の制度であり、収入が途絶えた期間の生活費を直接的に補う役割を果たします。
等級ごとの目安―寝たきりは1級、引きこもりは2級?
1級|他人の介助がなければ生活のほとんどができない
入院や在宅介護が必要で、活動範囲がベッドの周辺に限られる状態。寝たきりに近い状態が想定されています。
2級|家庭内の簡単なこと以外はできない
必ずしも他人の助けは要らないが、日常生活は極めて困難。強い引きこもり状態等が想定されています。
3級(障害厚生年金のみ)|労働に著しい制限
日常生活に大きな支障はなくても、フルタイム就労が難しく職場での配慮が必要な状態です。
※実際の等級は診断書の内容や日常生活の状況を総合的に審査して決定されるため、上記はあくまで目安です。国民年金のみの方(自営業・学生等)は1級・2級のみが対象で、3級・障害手当金は厚生年金加入者のみが対象です。
障害年金は実際いくらもらえるのか(令和8年度)
| 等級 | 年金の種類 | 年額の目安 |
|---|---|---|
| 1級 | 障害基礎年金 | 約105.9万円 |
| 2級 | 障害基礎年金 | 約84.7万円 |
| 3級(最低保障) | 障害厚生年金のみ | 約63.6万円 |
厚生年金加入者は、上記に報酬比例部分の障害厚生年金が上乗せされます(金額は加入期間・給与により個人差があります)。また、請求が遅れた分をさかのぼって受け取れる「遡及請求」が認められ、まとまった金額が一度に振り込まれるケースもあります。
受給のための3つの条件
受給事例
障害基礎年金1級・年額約98万円
一日のほとんどを横になって過ごしていたケース
自分で食事や入浴を行うことも難しく、家族の支援がなければ生活が成り立たない状態。外出することもほぼなく、ご家族からの相談をきっかけに手続きを開始。日常生活の実際の状況を申立書に反映した結果、1級が認定されました。
※個別の事案に基づく結果であり、同様の結果を保証するものではありません。
障害厚生年金2級・年額約180万円
単独での外出が困難だったケース
対人関係にも強い負担を感じ、家事全般を行うことが難しい日も多かった方。長年の通院歴が複数の医療機関に分散していたため初診日の特定に工夫が必要となりましたが、当時の記録から特定でき、2級が認定されました。
※個別の事案に基づく結果であり、同様の結果を保証するものではありません。
本人が動けない場合、家族が代わりに手続きできるのか
引きこもり・寝たきりの状態にあるご本人が、ご自身で年金事務所へ出向いたり書類を整えたりすることが難しいケースは多くあります。
この場合、委任状や本人確認書類等を用意することで、ご家族が代理人として手続きを進めることが可能です。「就労しているから対象外」「本人が動けないから申請できない」といった思い込みで申請自体を諦めてしまうケースも見られますが、まずは状況を整理して確認してみることが大切です。
申請前に確認したいチェックリスト
- 最初に受診した病院・時期がわかる
- 日常生活の支障の程度を整理できる
- 保険料の納付状況を把握している
- 代理で動ける家族がいる
よくある質問
Q引きこもり状態というだけで、障害年金の対象になりますか?
A引きこもり状態そのものではなく、その背景にある傷病(うつ病等)による日常生活・就労への支障の程度をもとに審査されます。
Q何年も引きこもっていて、当時の通院記録がない場合はどうなりますか?
A初診の医療機関にカルテが残っていない場合でも、他の受診記録や当時の状況を整理することで、初診日を特定できることがあります。
Q現在就労している場合でも申請できますか?
A可能性はあります。等級は就労の有無だけでなく、職場での配慮の程度や日常生活全体の制限状況から総合的に判断されます。
Q家族が代理で申請手続きを行うことはできますか?
A可能です。委任状や本人確認書類等を用意することで、ご家族が代理人として手続きを進めることができます。
Q障害者手帳を持っていなくても申請できますか?
A申請できます。障害者手帳と障害年金は認定基準・目的が異なる別の制度のため、手帳がなくても受給要件を満たしていれば申請可能です。
まとめ
この記事のポイント
- ・うつ病による引きこもり・寝たきり状態は、日常生活への支障の程度によって1級〜2級の対象になりうる
- ・1級は「活動範囲がベッド周辺に限られる」寝たきりに近い状態、2級は「家庭内の簡単なこと以外はできない」強い引きこもり状態が目安
- ・令和8年度の金額は、1級が年額約105.9万円、2級が年額約84.7万円(障害基礎年金の場合)
- ・本人が動けない場合は、家族による代理手続きも可能
出典
日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」nenkin.go.jp
日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」nenkin.go.jp
厚生労働省「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」mhlw.go.jp
こども家庭庁「こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)」cfa.go.jp
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投稿者プロフィール
- 社会保険労務士
- 親族に知的障害を持つ者がおり、障害年金が家族の生活を支える大きな力になることを身近に実感してきました。複雑な手続きにハードルを感じる方々の力になりたいという想いから、当センターを設立しました。 専門家として一人ひとりの状況を丁寧に伺い、スムーズな受給に向けて全力でサポートいたします。一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
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