人工弁を装着すると障害年金がもらえますか?
この記事の最終更新日 2024年7月19日 文責: 社会保険労務士 大平一路
質問
人工弁を装着すると障害年金がもらえると聞きましたが、本当ですか?
答え
はい。人工弁置換術という手術により人工弁を装着すると、原則的に障害年金3級に認定されるので、もらうことができます。
障害年金を受給するためには、主に3つの条件があります。
①症状が出始めて初めて病院を受診した日(初診日)が特定できる。
②初診日の前々月までに加入期間全体の3分の2以上の期間、保険料を納めている。
または、初診日までの約1年間滞納なく保険料を納めている。
③初診日から1年6カ月経過した時点、またはそれ以降で障害等級に該当している。
このように、原則では診察を受けてから1年6カ月経過しないと障害年金を申請することはできません。
しかし一部例外があり、人工弁の装着は例外のひとつに当たります。
人工弁を装着した場合は、その病気で初めて受診をした日から1年6カ月経過
していなくても、手術を受けたその日から障害年金を請求することができます。
障害年金は、就労が困難な場合に支給されることが基本なのですが、人工弁は就労の有無や収入に関わらず、他の要件を満たしていれば3級に認定されるので、障害年金を受給しながら、仕事をし続けることもできます。
人工弁と似ている言葉に、人工弁輪という言葉があります。患者さんの弁の機能を回復させるために、埋め込んで弁や弁周囲の形を整えるためのリングのことで、肺動脈弁、僧帽弁、三尖弁などで使われます。
この人工弁輪を使った手術は弁形成術にあたり、人工弁置換術とは異なっています。
人工弁置換術とは、弁の働きが悪くなった場合に弁を取り除いて、人工弁に取り換える
手術で、大動脈弁によく使われる手術方法です。
人工弁置換術では手術日が障害認定日になりますが、弁形成術では障害認定日として認められず、初診日から1年6か月経過後が障害認定日となります。人工弁輪等の弁形成術だけをもって障害等級には該当しませんが、就労に制限がある状態等の要件に該当すれば、障害年金を受給できる可能性があります。
障害の等級については、おおまかに次のような基準が設けられています。
※心疾患による障害認定※
3級 | 労働に著しい制限がある状態 |
2級 | 労働不能であり、食事や身辺の清潔保持などの日常生活に多くの援助が必要な状態 |
1級 | 他人の援助がなければ日常生活ができず、常に介助が必要な状態 |
障害年金は、初診日に加入していた年金制度によって、受給できる年金の種類が決まっています。
初診日に厚生年金に加入していた場合には障害厚生年金、国民年金に加入していた場合には障害基礎年金の対象になります。
障害厚生年金では1級から3級のいずれかに該当した場合、障害基礎年金では1級または2級のどちらかに該当した場合に障害年金が支給されます。
初診日に厚生年金に加入していた場合は3級でも障害年金を受給することができますが、初診日に国民年金に加入していた場合は2級または1級に該当しないと障害年金は支給されません。
人工弁を装着している場合は原則3級に認定されるため、人工弁置換で障害年金を受給するためには、初診日に厚生年金に加入していたことが大きなポイントになります。
(複数の人工弁を装着していても装着している人工弁の数に関わらず、原則3級になります)
人工弁の装着は原則3級に認定されますが、人工弁を装着した後の経過によっては2級以上に認定されるケースもあります。
認定基準によると2級以上に認定されるケースについては下記の通り規定されています。
等級 障害の状態
2級 人工弁を装着術後、6ヶ月以上経過しているが、なお病状をあらわす臨床所見が5つ以上、
かつ、異常検査所見が1つ以上あり、かつ、一般区分状態のウ又はエに該当するもの
(1)臨床所見 | 臨床所見とは診断書の記載項目の1つです。自覚症状と他覚所見の2つの項目がありますが、 この内、人工弁置換の原因となった病気の症状をあらわす所見が5つ以上あることが1つの条件になります。 |
(2)異常検査所見 | 診断書にはいくつか検査項目を記入する欄があります。それらの検査所見が異常を示している場合、この異常検査所見に該当します。 |
(3)一般状態区分 | 障害年金の診断書では、日常生活への支障の程度を5つの段階に分けて示した 「一般状態区分」という項目があります。人工弁置換で2級以上に認定されるためには、 日常生活に支障があり、軽い家事や事務作業もできない程度、 つまり以下の区分のうち少なくとも「ウ」「エ」のいずれかに該当する必要があります。 |
一般状態区分
ア :無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの |
イ: 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの。 例えば、軽い家事、事務など |
ウ :歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、 日中の50%以上は起きているもの |
エ: 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、 日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの |
オ :身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、 活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの |
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