ダウン症は、障害年金がもらえますか?
この記事の最終更新日 2021年11月10日 文責: 社会保険労務士 大平一路
質問
子供がダウン症なのですが、障害年金をもらうことはできますか?
答え
ダウン症は障害年金の支給対象疾患ですので、請求手続きを行い、日本年金機構の定める一定の基準を満たしていれば、受給することができます。
障害年金を受給するための基準として、日本年金機構の定める障害の程度が2級または1級相当になっている必要があります。
さて、本来障害年金を受給するためには、その傷病によって初めて病院に行った日(初診日)を証明する書類が必要となります。また、初診日前に年金を納めていない期間が一定以上ある場合は受給出来ないといった基準もあります。
しかし、ダウン症は先天性疾患のため、原則として出生日が初診日となります。年金保険料は20才になってから支払うものですから、出生日はそもそも保険料を納める必要はありません。そのため、初診日の証明や納付の要件は満たしているものとして取り扱われます。 保険料を納めていなくも障害年金を受給することができることになります。
●障害の程度の要件
障害の程度の要件につきましては下記のようなイメージとなります。
1級 ・食事や身の回りのことを行うのに全面的な援助が必要 ・会話での意思疎通不可能か著しく困難なため、日常生活が困難で常に援助が必要なもの 2級 ・食事や身の回りのことなどの基本的な行為を行うのに援助が必要なもの ・会話による意思疎通が簡単なものに限られるため、日常生活にあたって援助が必要なもの
障害年金の程度については1~3級までの等級がありますが、3級は厚生年金に加入中に発病した方のみが対象となるため、先天性疾患であるダウン症の場合は1級、または2級に該当する必要があります。
おおまかにいえば、意思疎通が困難で常に誰かの援助がなければ日常生活がおくれない方が1級、日常生活に支障が出ている方が2級です。
ところで、具体的にどのような状態であれば「日常生活に支障が出ている」というのかこれだけではわかりません。 そのため、認定基準をより具体的に示した「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」が平成28年9月に発表され、新たに審査の基準となっています。 この等級判定ガイドラインによると、診断書の記載事項である「日常生活能力の判定」及び「日常生活能力の程度」に応じて等級の目安が定められています。
※「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」とは
●日常生活能力の判定
日常生活にどのような支障があるかを7つの場面に分けて評価したものです。
※請求者が一人暮らしをした場合、可能かどうかで判断します。
(1)適切な食事 配膳などの準備も含めて適当量をバランスよく摂ることができる
(2)身辺の清潔保持 洗面、洗髪、入浴等の身体の衛生保持や着替え等ができる。
また、自室の清掃や片付けができる
(3)金銭管理と買い物 金銭を独力で適切に管理し、やりくりがほぼできる。
また、一人で買い物が可能であり、計画的な買い物がほぼできる
(4)通院と服薬 規則的に通院や服薬を行い、病状等を主治医に伝えることができる
(5)他人との意思伝達及び対人関係 他人の話を聞く、自分の意思を相手に伝える、集団的行動が行える
(6)身辺の安全保持及び危機対応 事故等の危険から身を守る能力がある、通常と異なる事態となった時に他人に援助を求めるなどを含めて、適正に対応することができる
(7)社会性 銀行での金銭の出し入れや公共施設等の利用が一人で可能。また、社会生活に必要な手続が行える
各項目を
1 できる
2 自発的にできるが時には助言や指導を必要とする
3 自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる
4 助言や指導をしてもできない若しくは行わない
の4つの段階にわけて評価します。
●日常生活能力の程度
日常生活能力を総合的に評価したものです。
1 知的障害を認めるが、社会生活は普通にできる。
2 知的障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には、援助が必要である。
3 知的障害を認め、家庭内の単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である。
4 知的障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である。
5 知的障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が必要である。
この基準をもとに具体的な日常生活状況等を考慮し、総合的に判断されることになります。
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