社会保険からの障害年金も受給できるのでしょうか?
この記事の最終更新日 2021年11月10日 文責: 社会保険労務士 大平一路
質問
今、労災保険から障害給付を受給しているのですが、社会保険からの障害年金も受給できるのでしょうか?
答え
まず、労災保険とは労働者災害補償保険法に基づく制度で業務中や通勤の際のケガや病気に対して保険給付を行う制度です。しかも、業務中や通勤の際の傷病に対してだけではなく、 休業中の賃金補償も行われ、後遺障害が残った場合や死亡した場合にも被災した労働者やその遺族へ保険給付が行われる制度です。従業員を一人でも雇っている企業・法人は、労災保険に加入する事が義務付けられています。
労災保険の適用を受ける労働者とは、労災保険の適用事業で使用される労働者のことで、
賃金が支払われる方が対象となります。ここでの労働者は正社員だけを指すのではなく、
正社員以外のアルバイト等の人々や外国人のかた等すべての人が対象となります。
社会保険から支給される障害給付(障害厚生年金・障害基礎年金)と労災保険から支給される障害給付(障害補償年金)は全く別の制度となっており、障害等級も異なっていますので、併給は可能となっています。
同じ傷病の場合、障害厚生(共済)年金は全額受け取れますが、労災保険の障害補償年は調整されるため全額を受け取ることはできません。両制度からの給付を受け取ると以前に受けていた賃金より高額になるため支給調整されるのです。
ちなみに、調整率は下記の通りです。
支給される年金 | 労災給付の減額率 |
障害厚生年金・障害基礎年金 | 0.73 |
障害基礎年金のみ | 0.88 |
障害厚生年金のみ※① | 0.86 |
障害厚生年金のみ※② | 0.83 |
※①労災給付が傷病補償年金又は傷病年金の時の減額率。
※②労災給付が障害補償年金又は障害年金の時の減額率。
また、別の傷病の場合は併給調整対象外となりますので、労災保険の給付は減額されずに全額支給されます。
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