脳脊髄液漏出症で障害厚生年金2級を受給できたケース
この記事の最終更新日 2022年4月10日 文責: 社会保険労務士 大平一路
相談者 | 女性(30代)/無職 |
傷病名 | 脳脊髄液漏出症 |
決定した年金種類と等級 | 障害厚生年金2級 |
年金額 | 年額約110万円 |
相談時の相談者様の状況
7年程前にめまい、吐き気、頭痛が続き近医の内科を受診されました。そこでは自律神経失調症とめまい症と診断され治療を開始されましたが、症状は一向に改善せず仕事も続けられない状況になり、数か月後に退職することになりました。
主治医は別の疾患の疑いあると判断し、総合病院の受診を勧められたため検査を受けたところ、脳脊髄液漏出症の可能性が高いと言われ専門の病院を紹介されました。
専門の病院で精査した結果、脳脊髄液漏出症と診断されブラッドパッチの手術を行いましたが、症状は改善しませんでした。現在は、めまいや倦怠感の症状が強く、トイレや入浴、食事以外はベッドで横になっているとのことでした。
相談から請求までのサポート
脳脊髄液漏出症はめまい、頭痛、ふらつき、全身倦怠感を症状とする疾患です。多くの場合、交通外傷やスポーツ外傷をきっかけに生じますが、原因がはっきりとしない場合もあります。外傷後時間が経ってから発症するため、初診日を特定することが難しい疾患になります。
相談当日、お話をお伺いしたところ、高校生の頃に体育の授業で転倒し尾骶骨を骨折したことがありました。そのため、相談者様の初診日は3つの候補がありました。
① 尾骶骨を骨折し整形外科を受診した高校生のころ
② めまいなどの症状が現れ受診した内科
③ 脳脊髄液漏出症の可能性があると言われた総合病院
しかし、骨折から発症まであまりにも時間が空いていることが気になり、骨折以降の状態をお伺いしたところ、7年前に症状が現れるまでは特に問題はなかったそうです。医師も骨折との因果関係はないと判断したため、内科を初診として進めていくことにしました。
脳脊髄液漏出症は症状により「肢体」の診断書または「その他」の診断書を提出することになりますが、相談者様は肢体については障害等級に該当するような症状がほとんどなかったため、「その他」の診断書の作成を医師に依頼し、病歴就労状況等申立書の作成等、申請を進めていきました。
結果
内科の初診が認められ、無事に障害厚生年金2級(年額約110万円)の受給が決定しました。内科の初診が認められなかった場合は、障害基礎年金になっていたため大変喜んでいただけました。