右変形性膝関節症で障害厚生年金3級を受給できたケース
この記事の最終更新日 2025年12月15日 文責: 社会保険労務士 大平一路
| 相談者 | 女性(50代)/パートタイマー |
| 傷病名 | 右変形性膝関節症 |
| 決定した年金種類と等級 | 障害厚生年金3級 |
| 年金額 | 年額約58万円 |
相談時の相談者様の状況
ご相談者様は数年前に脳出血を発症され、その後遺症として高次脳機能障害と診断されておられました。記憶力や注意力の低下により、以前のようにフルタイムで働くことが難しくなり、現在はパートタイマーとして勤務されていました。
高次脳機能障害について、ご自身で障害年金の申請手続きを行われましたが、結果は不支給となってしまいました。不支給の理由は、初診日時点において国民年金の保険料納付要件を満たしていなかったためでした。
この結果に納得がいかず、審査請求を依頼するために当センターにお越しになられました。しかし、納付要件を満たしていないことが不支給の理由である場合は、審査請求を行っても決定が覆る可能性はないと判断せざるを得ません。そのことをご相談者様にご説明申しました。
しかしながら、高次脳機能障害による日常生活への支障は確かに存在しておられましたので、念のため、申請した初診日よりも以前に、脳出血に関して受診したことがないか、改めて病歴を整理し直すことといたしました。
そのやりとりの中で、ご相談者様から「実は来月、膝の手術を受けることになっています。人工関節を入れるんです」というお話をお聞きしました。右膝は長年の変形性膝関節症により痛みが慢性化しており、階段の昇り降りや長時間の立ち仕事が困難な状態が続いていたとのことでした。
保存療法では改善が見込めないため、主治医から人工膝関節置換術を勧められたとのことです。人工関節の置換術を受けた場合、障害年金の対象となることをお伝えしたところ、ご相談者様は大変驚かれ、詳しくお話をお伺いすることとなりました。
相談から請求までのサポート
ご相談者様は、人工関節を装着することで障害年金を受給できる可能性があることを全くご存知ありませんでした。一般的に、人工関節というと「治療」のイメージが強く、障害年金の対象になるとは思われていない方が多いのが実情です。
高次脳機能障害での障害年金受給は、やはり申請した初診日以前に受診したことはなく、再請求できない状況でしたので、人工関節を入れることになった経緯について詳しくお伺いしました。
右膝の痛みを最初に感じて整形外科を受診されたのは約3年前とのことで、当時はまだ正社員として勤務されており、厚生年金に加入されていた時期でした。念のため年金事務所にて被保険者記録を確認したところ、右変形性膝関節症の初診日時点では厚生年金に加入されており、かつ保険料の納付要件も問題なく満たしていることが確認できました。
この確認が取れた時点で、人工関節による障害年金申請の見通しが立ちましたので、早速、初診の医療機関に受診状況等証明書の作成を依頼していただきました。初診日から3年程度でしたので医療機関にカルテが保存されており、スムーズに証明書を取得することができました。
その後、人工関節置換術を終えた段階で、手術を行った医療機関にて診断書を作成していただく段取りを整え、初診日から1年6か月以内に人工関節置換術を受けられました。障害年金制度において、人工関節を装着した場合は、装着日が初診日から1年6か月以内であれば、装着日を障害認定日として請求することが可能です。これを「障害認定日の特例」といいます。今回はこの特例に該当したため、障害認定日請求として、1年6カ月を待たずに申請を行いました。
病歴・就労状況等申立書の作成にあたっては、ご相談者様から発症時からの経過を詳しくお伺いし、日常生活や就労にどのような支障が生じているかを具体的に記載いたしました。
結果
無事に障害厚生年金3級が認められ、年額約58万円の受給が決定しました。高次脳機能障害による精神の障害での申請については、残念ながら再申請に至りませんでしたが、当初の審査請求のご相談がなければ人工関節についてお話を伺う機会もなく、今回の受給には至らなかったものと思われます。受給に繋がり、相談者様にも喜んでいただくことができ、大変嬉しく思います。
障害年金の専門家による障害年金の相談実施中!
大阪障害年金サポートセンターでは、初回相談は無料ととなっております。「自分は障害年金をもらえるのか?」
「障害年金をもらうために必要な書類は?」
「年金事務所に難しいと言われたが何か方法はないか?」
などのニーズに、障害年金の専門家がお応えいたします。
お気軽にご相談ください。
当事務所の解決事例についてはこちら>>>
相談の流れについてはこちら>>>
サポート費用についてはこちら>>>












