うつ病で障害厚生年金3級を取得、年額約60万円を受給できたケース
この記事の最終更新日 2026年9月14日 文責: 社会保険労務士 大平一路
この事例のポイント
- うつ病により退職し、傷病手当金の受給期限も間もなく終了する状況で障害年金の相談を受けた事例
- 主治医から一度は診断書の作成を断られたものの、日常生活上の困りごとを詳しく整理して伝えることで診断書を取得
- 障害厚生年金3級に決定し、年額約60万円の受給につながった
相談時の相談者様の状況
相談者様は、大学を卒業してから約20年間、仕事にまじめに取り組み、責任のあるポストでもその力を発揮していました。しかし、仕事上の責任やプレッシャーが次第に大きくなり、うつ病を発症するに至りました。
その後、仕事を続けることが難しくなり退職。退職後は傷病手当金を受給して生活していましたが、相談に来られた時点では、その傷病手当金の受給期限も間もなく終了するという状況でした。
就労による収入がない中で傷病手当金の終了も近づいていたため、今後の生活を考えるうえでも、障害年金を受給できる可能性があるかを確認する必要がありました。
相談から請求までのサポート
障害年金の申請にあたり主治医へ診断書の作成を依頼したところ、相談者様がこれまで長期間にわたって就労し、責任のある仕事をしてきた経歴などから「まだ働くことができるのではないか」と判断され、診断書の作成を一度断られてしまいました。
そこで、あらためて相談者様から現在の生活状況について詳しくお話を伺いました。
その中で分かったのが、相談者様自身が主治医に対して、現在の困りごとを十分に伝えられていなかったということでした。
相談者様からは、「発病前と発病後では生活が大きく変わっているにもかかわらず、主治医にはつい『困っていることはない』『大丈夫です』と伝えてしまう」
というお話がありました。
あまり弱みを見せたくないという気持ちもあり、実際には生活上の支障が生じていても、診察の場ではその状況を十分に伝えることができていなかったのです。そのため、主治医が診察時の受け答えだけから判断した場合、実際の生活状況との間に差が生じてしまう状態となっていました。
そこで当センターでは、相談者様にさらに詳しくヒアリングを行い、発病前と現在の生活の違いや、現在抱えている困りごと、日常生活の様子などを整理しました。そして、その内容を書面にまとめ、あらためて主治医へ現在の状態を伝えるようにしました。
その結果、主治医にも「こんなに困っていたのか」と実際の生活状況を認識していただくことができ、障害年金申請に必要な診断書を作成していただけることとなりました。
結果
申請の結果、障害厚生年金3級に決定し、年額約60万円を受給できることとなりました。
今回の申請では、単に診断書の作成を依頼するだけではなく、相談者様が診察時には十分に伝えることができていなかった生活上の困りごとを整理し、主治医に正確に伝えられたことが重要なポイントとなりました。
また、障害年金を受給できたことだけでなく、これまで主治医に十分伝わっていなかった相談者様の状態が共有されたことで、今後の治療方針についても変更がありました。
あまり弱みを見せたくないというお気持ちがあった相談者様でしたが、障害年金の受給と治療の両面で状況が前進し、結果としてご満足いただけた様子でした。
担当社労士からのコメント
うつ病などの精神疾患による障害年金では、診断書に記載される現在の症状や日常生活の状況が重要になります。
しかし今回の相談者様のように、診察の際に「大丈夫です」「特に困っていません」と答えてしまい、実際の生活上の困難が主治医に十分伝わっていないケースがあります。
特に、発症前に長期間働いていた方や責任のある仕事をしていた方の場合、ご本人自身が以前の状態を基準に考えてしまったり、弱い部分を人に見せることに抵抗を感じたりすることもあります。その結果、現在は生活に大きな変化が生じていても、診察時にはその実態が十分伝わらないことがあります。
今回のケースでは、相談者様から現在の生活状況を詳しく伺い、発病前と発病後でどのような変化が生じているのかを整理して主治医にお伝えしたことで、実際の状態について理解していただくことができました。
障害年金の申請では、ご本人が困っていることを必要以上に大きく伝えるのではなく、実際に起きている生活上の支障を正確に整理して伝えることが大切です。
同じ傷病で障害年金の申請をお考えの方へ
うつ病で治療を受けている場合でも、「働いていた期間が長いから障害年金は難しいのではないか」「主治医に障害年金のことを相談しにくい」と考え、申請をためらう方もいらっしゃいます。
しかし、障害年金では過去の職歴だけで判断されるのではなく、現在の症状や日常生活・就労への影響などを踏まえて審査が行われます。
また、診察時間は限られているため、普段どのようなことに困っているのかを主治医がすべて把握しているとは限りません。診察では「大丈夫です」と答えていても、実際には発病前と比べて生活が大きく変化している場合もあります。
障害年金の申請を検討する際には、現在の症状だけでなく、発病前と比べて日常生活や仕事にどのような変化が生じているのかを整理することが重要です。申請できるかどうか分からない場合や、主治医への相談方法でお困りの場合は、専門家へ相談することも一つの方法です。
よくあるご質問
Q. うつ病でも障害年金を受給できますか?
A. うつ病でも、症状によって日常生活や就労に一定の制限が生じている場合は、障害年金の対象となる可能性があります。 傷病名だけで受給の可否が決まるものではなく、現在の症状や日常生活の状況、就労状況などを踏まえて判断されます。
Q. 主治医から障害年金の診断書を書けないと言われた場合は申請できませんか?
A. 障害年金の請求には原則として医師の診断書が必要ですが、一度診断書の作成を断られたからといって、その時点ですべての可能性がなくなるとは限りません。 今回の事例では、主治医に十分伝わっていなかった現在の生活状況を整理して伝えたことで、あらためて状態を理解していただき、診断書を作成していただくことができました。
Q. 診察では「大丈夫です」と答えてしまいますが、障害年金の申請に影響しますか?
A. 実際の生活状況と診察時に伝えている内容に大きな差がある場合は、現在の状態が主治医に十分伝わらない可能性があります。 障害年金のために症状を誇張する必要はありませんが、食事や外出、家事、人との関わり、仕事などについて、実際にどのような支障が生じているのかを具体的に整理して伝えることが大切です。
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投稿者プロフィール
- 社会保険労務士
- 親族に知的障害を持つ者がおり、障害年金が家族の生活を支える大きな力になることを身近に実感してきました。複雑な手続きにハードルを感じる方々の力になりたいという想いから、当センターを設立しました。 専門家として一人ひとりの状況を丁寧に伺い、スムーズな受給に向けて全力でサポートいたします。一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
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